パレルモ・シューティング


ヴィム・ヴェンダース監督の最新作。

ネタばれなので、観る予定がある場合は以下の部分には目をつぶって下さい。
かなり面白かった。





色んなテーマが盛り込まれている中でも中心となることは、生きること自体と具体的生き方(写真を撮ること)の関係であったのではないか。生きることは何かを追われることであり、それが創作への葛藤とそれを何者かに見られること(それは写真家が自らを偽りながらの創作活動であるかもしれない)と対比されている。主人公が自分を死へと導くものを探し、それが自らに向き合うことになると、それがより抽象的に表現される。


ストーリーの中で、建築・都市空間が大きな意味を持つ。SANAAの現代建築はその開口部と建築自体の物質性がメタファーとして用いられ、いつも音楽を聞いている主人公がイヤフォンを外した途端に死という現実と立ち向かうことになる。音楽を聞いている主人公はまるで都市からは乖離しているかのようにうかがえる。


主人公を演じるカンピーノとアンドレアス・グルスキーの関係は知らなかった。
アンドレアス・グルスキーはとても好きな写真家。なるほど、この映画がめちゃくちゃおもしろかったわけだ。