アーキフォーラムでの思考

アーキフォーラム今期2回目のゲストは山梨知彦さん(日建設計)「BIMは誰のための者か」
BIMの紹介をしながら、建築業界の今を語る。業界の常識と社会の常識のズレ。構造的不況。山梨さんの語りによって自分の中ではっきりしたBIMの利点は3Dで模索出来ること、シミュレーションのもつ説得力、可視化することによる共有性、である。3次元化されたものを見る事でクライアントが設計に参加(主体的な口出しも含めて)できることは容易に想像できる。さらに、設計の整合性までオートメーション化されていること(常識なのかもしれないけれど)には驚いた。
このレクチャーを聞くまで、BIMに対して漠然と理解していたことに気付く。メディアもまだ漠然としか伝えられていないのではないだろうか。a+uの特集や建築ジャーナルの特集を見てからレクチャーに臨んだ僕にはそう思えた。
このレクチャーでとても印象的だった言葉は「身体感覚を身につける」という言葉。BIMとはかけ離れているように聞こえる言葉だが、山梨さんはシミュレーションをし、それをもとにモックアップを作るなどし、バーチャルと現実体験を繰り返すことで自らの身体感覚が養われていく感じがするとおっしゃっていた。実体験をしているのだから身体感覚が身に付いて当たり前だと思えるかもしれないけれど、シミュレーションという予習を通していることに意味がある。なぜなら建築の設計は一発勝負であり予見力が大切であるからである。山梨さんの言うように、バーチャルと現実の違いをしっかりと意識しながら、BIMという手法を活かすことが出来れば、予定調和に陥らないしっかりと予見されたもの(矛盾する!?)に到達しやすいのかもしれない。

情報だけではなく、場所でさえも共有されようとしている気がしている。そんなときに建築分野は表現を変える必要もある。言葉を変える必要もある。そうしたときに設計者が自らの存在をどう利用するのか。3Dモデルではなく、最後は設計者が語らないといけない。

とても刺激的な講演会だった。