ソウルでの思考03

梨花女子大学キャンパスへ、設計はDominique Perrault Architecte

師匠の良い意見も聞いていたので、楽しみにしていた。教室だけでなく、物販店舗や映画館、銀行なども含めて地中に埋設し、その真ん中に大きく空間が開けられている。
大学という人が集中的に動く場所と、この大きな空間が合っている。あの大きな空間は基本的には通り道なんだけれども、人によってその横断の方向が様々であって、師匠の言う「行き交う」という状況が生まれていて、色んな人の行動が同時に存在していた。大きな階段に座って人々の行動をぼーっと見るのが何か爽快だった。
外壁は全てガラスで、鏡面で作られたマリオンがとても目立っている。大空間を正面から見ると、マリオンのボルト部分が柄のように見えなくもない。
地中に入って行こうとすると、大きな空間の勾配がソウルの街で経験した起伏を思い出させる。設計者の意図にあったのかはわからないけれど、ソウルの街もこんな感じで傾斜している場所が多い気がする。


地中に入ってみると、自分よりも上部にある街が切り取られたように見えておもしろく、傾斜を上がっていく人が街に吸い込まれていくかのように見えた。
鏡面のマリオン部分に人やものが反射している様子が見える。
外部の大空間がとても存在感が強いのだけれど、インテリアにもいい場所があった、少し暗い場所に家具が置いてあったり、照明がぐっと抑えられた階段の空間があり、そこで学生がパソコンを目の前にしたり、話をしていたりしていていた。





おおらかな建築だなぁと最初に感じた印象は、色々な箇所である意味裏切られた。そのおおらかさを嫌に感じさせないのは、人が知覚するレベルで何が見えて、どう感じさせるかといったところが繊細にデザインされているからだと感じた。学生がロビーでカップ麺を食べていても全然嫌じゃなかった。