乾 村野

stmd2008-10-14



乾久美子 - そっと建築をおいてみると (現代建築家コンセプト・シリーズ 3)

乾久美子 - そっと建築をおいてみると (現代建築家コンセプト・シリーズ 3)

建築をつくる者の心 (なにわ塾叢書)

建築をつくる者の心 (なにわ塾叢書)


2つの本を読む、ホットな現代建築家と、近代建築家の思想(のようなもの)を読んだのは偶然。


乾さんの本。
乾さんには、講演会でお話を伺って、魅力を感じた。
そのときの感覚とまではいかなかったが。うんうんとうなづくことができる本だった。
好きな考え方は、十和田の美術館と、アパートメント穵。
十和田は建築空間を形態ではなく光という、繊細なもので扱っている。
アパートメント穵は初めて見たときの印象が「えっ!?」と思っただけに、説明を聞くと勉強になることが多い。
フラワーショップは、僕が講演会で聞いた内容とは変わっていたようだ。(僕がきちんと聞けていなかったのか?)
建築を「つくる」のではなく「おく」ことで、世界を少しばかり変化させる。という言葉に共感。


村野さん。
「1%の村野が必ず残るでしょう。村野の作品というのはそこから始まるのだと。それ以上、99%はみんな社会的なもので、社会に吸収されて行く。」
という言葉が印象的。建築の99%はクライアントのもので、それは社会的なものでもあるという。
だから、建築は儲けられるようにつくらないといけない。さらにこう言う。
「社会に対して、どのような影響を与えるか、これは口では絶対言い表せませんが、そういう方向に建築家が持っていくべきだと言うことです。それが1%なのです。村野の1%は、そこにあるのです。」
建築家ができることもあると。僕はそう読む。
マルクス資本論を読んでいたという村野さん。「建築家はいくら謙虚であってもありすぎることはない」と。
謙虚になりきって残った1%で何ができるか。そういうことを考えてらしたんだろうな。
刺激をうけました。そこで考えるのは。「いま、建築家は謙虚か!?」ということだった。