思考ー豊島美術館

瀬戸内芸術祭に行った時に豊島美術館へ。設計は西沢立衛建築設計事務所

遠くからでも目立つ白いコンクリートのかたまりが木々の中にある様子は不思議な感じがした。設計者がコンセプトとしている滴という自然的なものというよりも宇宙船のような未来的なものに見えた。

美術館へは真っ直ぐにアプローチせずに小高い丘をぐるっと回ってアプローチする。まず印象的だったのがアプローチのために作られた道がきれい。たぶん細いPCa床版だと思うんだけれども、しっかりとした厚みがあり地面から縁を切ったデザインはとても存在感がある。


そして期待の内部空間。入った瞬間、うわぁ、と。湾曲した屋根に囲まれた洞窟のような空間。屋根に空いている2つの開口部からは光も雨も入ってくる。25mm厚の駆体によって出来た空間は、「空間」というよりも「環境」という言葉が近いような気がした。外部と区切られていないため空気環境は外部であるんだけれでも、そこには駆体によって設定された空間がある。でもその空間を規定しているものは部屋を作るのではなく環境を作っているという感じ。内藤礼による作品は環境と呼応するようなものだった。いわゆる床、壁、天井によって作られる部屋は空間に対して自分の場所が明確に感じ取ることが出来るんだけれども、あの場所はそうではなく、輪郭をイメージする必要がないというような雰囲気。色々と難しく考えてもしょうがなく、「うわぁ」という感じが先に思い出されてしまう。


豊島は(瀬戸内は?)あまり雨が降らない地域だと聞いた。だからこそ、あのように外部とつながった空間が実現出来たという。でも、僕が行ったときはけっこうな雨だった。内部に雨が降り込んでくる様子と雨のさわさわという音がとても美しかった。