吉田鉄朗

stmd2008-09-13



JIA近畿支部主催の
「日本における近代建築の原点
 ー吉田鉄朗の作品:大阪・東京ふたつの郵便局庁舎ー」へ。


貴重なドキュメンタリィ映像を見て、吉田さんの人物像に触れたり、
先生方の話を聞いて、大阪のあの建物を残せる可能性を知ったり。
両中央郵便局は作った吉田鉄朗という人物を見ても、その建築をみても残すべきではないかと思った。
松隈先生が「壊してしまったら、後で壊した現実と向き合わなければならない」と言っていた。
壊れてしまってから、後悔するのでは遅いのではないだろうか。


シンポジウムの最中「ここの話だけを鵜呑みにしないようにしよう」
ときをつけていた。残そうとする側の理論にかたよっている気がしていたから。
しかし、残して欲しいと思う。
大阪中央郵便局の良さのほんの少ししか自分はわかってないんだろうと実感した。
時がすぎて、その良さが自分の中でわかるような気がする。それが人生の目標になるのかもしれない。
100年の持続くを目標にしてほしい。


ギャラリーの一般の方から「建築の可能性」という言葉がでたことがうれしかった。
伝えることをきちんと伝えれば、建築は利用者にとって魅力的たりうるということを実感。





冒頭、富山テレビが作ったという、吉田鉄朗のドキュメンタリィ映像が流れる。
吉田さんの作品を東京中央郵便局を中心に平易に解説し、吉田さんの人柄を織り交ぜるような映像。
吉田さんの色選び。東京中央郵便局のそれに現われるように「控えめな白」好んだという。
それは自然の色を受け止めるから、人間が作る色は自然の色にはかなわないから。
内田洋哉さんがでてきて言った、「とにかく贅肉をけずった建築なんだ」と
さらに「建築は生きているから、壊れたらどうしようもない」とおっしゃっていた。
ストックホルム市庁舎が大好きだったという吉田さん。
東京・大阪両中央郵便局にある八角形の柱がそこにあることはしらなかった。
少し前に見学にいったあの空間を思い起こしながら「へ〜」と思っていた。


「日本中に平凡な建築をいっぱい建てましたよ」
というのが最後の言葉だったそう。感動した。


その後、芝浦工大の南先生が語る。
吉田さんの100以上の作品のうち、30が木造住宅だったこと。
住宅と公共建築を同時に設計していたこと。
大阪中央郵便局を「清純性の建築」と表現たスライドには
docomomo特集のJAのラストに写真が。あの写真は建築を表現しつくしている気がする。


話は、中央郵便局の建て替えの話へ。
新風館など、成功した保存の事例。逆に失敗した事例もあげる。
事業採算性と理想の両立を語り、容積率を譲渡する東京駅の保存方法をあげる。
両中央郵便局も同じ方法でできるのでは、建て替えによる不動産への投資はリスクがあると指摘。
大阪は西側敷地と一体開発なのだから、と可能性を示唆。
しかし、立て替えの計画はどんどん進んでいる。


次は、神戸大学の足立先生。
吉田さんの時代はモダニズムの過渡期であり。
その時代のテーマは「抽象」と「構成」である。
大阪中央郵便局は背後も美しいと、
構成要素によって構成美を現出している。
最後におっしゃっていたのは、大阪中央郵便局の色について。
ギャラリーの中の一般の方から、
「あの暗い色は見る人に東京と比べて暗いイメージを与えている」
それに対し、足立先生「あの色を表すうまい言葉がみつかれば印象は変わるはず」


最後に松隈先生が吉田さんの考えについて語る
集落をつくる木造民家の方法を RCに適用し都市建築をつくった吉田さん。
彼が考えたことは、集落のなんらかの要素を都市に取り込むことだったのでは?
と推論する。
さらに、吉田さんという建築に生きた人がつくった人につながり。
吉田さんからつながる人物について語る。
最後の言葉は
「近代建築を”炭坑のカナリア”にしないために今の時代はなんとかしないといけない」