大地を建築する

10/29 ドミニク・ペローさんの講演会へ。タイトルは「大地を建築する」
阪大でワークショップをやったし、大阪駅前に富国生命ビルが施工中だし、大阪との距離が一気に縮まったペローさん。会場は学生3割、実務者7割くらいに思えた。社会人になった先輩数人ともばったり。
基本的には作品紹介「欧州司法裁判所」「梨花女子大学」「オリンピックテニスセンター」「富国生命ビル」の4つを紹介。それぞれにアイデアがあり、敷地への解答があるのだが、「外からの建築の見え方、中からの外の見え方」という点について様々なアプローチがあるように思った。「欧州司法裁判所」では古い建物の中にファブリックのような素材で内部を覆い、外からみるとそれはまるでカーテンのよう。「梨花女子大学」では地面に埋まった建築が切り取る街の輪郭がとてもおもしろいなと感じたし、建物の外と中を仕切るガラスの胴縁というかサッシを通しての内外の見え方はおもしろい。「オリンピックテニスセンター」ではまるで布のように多孔質のいうか、スカスカ感のスチールの資材を通して中から外が見えるし、夜になると建築はぼぉっと光る。「富国生命ビル」は解説にはなかったけれど、多様な方向を向いているガラスに映る街の様子がとても面白いし、街の一端として建築に表情を与えていると感じた。
その場所に新しいイメージやアイデンティティを打ち出すことが建築の役割であると主張しているが、そのイメージは象徴的になることでもなくーいや象徴的なだとも言えるんだけれどー外部素材などによる内外の境界や、公共動線の引き込み方による人目線のイメージなのかなと感じた。
フランスからの留学生が「ペローの建築はファサードばかりで内部やプロジェクト全体がおもしろくない」と言っていた。確かに建築の表情に重きを置いているのかなと解説のバランスからも思うのだけれど、建築の一番外の部分ー皮膜というか外皮というかーは外からも見えるけど、中からの見え方や街の感じ方もコントロールするなともっともなことを考えてみる。
外国人の講演はやはり聞くことは少ないけれど、建築にポジティブだなと思う。―楽観的ともいえるけれど―日本は建築を取り巻く状況が向かい風だからなんだろうなと思う。