(追記)アーキフォーラム 吉村靖孝さん

アーキフォーラム ゲストは吉村靖孝さん。タイトルは「木・林・森」。
建築を考えるときに、それが作られる背景に骨太な考え方があるなという印象を受ける。それは敷地の条件でもあるし、法規でもあるし、流通でもあり、建築が作られる状況そのものでもあると思った。
まず、都市化と情報化の中で建築の可能性を探ることを提起。学生時代の取り組みについて触れ、情報化を背景とするものとして、古谷さんの仙台メディアテークのコンペ案。都市化として、ダブルスパイラルをあげる。学生時代から建築の最先端である。その後はMVRDV。
タイトルについて、林は「生やし」であり、森は「盛り」「守り」であり、前者は人工的なもの、後者は自然に存在するものという違いがあることから、森みたいな林を作れないかという話題を切り出す。
続いて、作品について、まずNowhere Resortの一連の建築について。Nowhere Resortについて知らなかった。1週間賃貸という方法はありかもしれない。それだけの期間だと特別感が増強される。どんな人が多く利用するのだろう。郊外を何とかすることを提起。
「Nowhere Resort but Sajima」
郊外じゃリゾートとは違い、豊かな立地が得られるわけではない。それでも、海への眺望が得られる敷地において、魅力が無い郊外の風景や大きな開口部を開けても道路から見られてしまうことを如何にうまく避けて利点を活かすことに主眼が置かれる。さらに防火の理由から外部との境界(ガラスなどの素材)を決定する。「function follows space」を提言。「予期せぬ体験を提供する価値が建築にはある。」整理整頓されていなければいいわけではないが、大体の空間を人間は使うことができると述べる。
「Nowhere Resort but Hayama」
既存の木造家屋にはほぼ手をつけず、内部に家型の空間を挿入することで補強も兼ねる。
「軒の家」
公園法という強固な法的制約を建築に活かす。軒が大きく出る屋根の4つの役割を提案。勾配屋根の条件によって生まれる天井懐も深い軒を作るための梁せいと読み替える。
「EX-COUNTAINER」
郊外住宅地を引き合いに敷地は均一であり、そこに家を建てる人の生活(経済力)の均一性が結果均一な風景を生んでいるとする。コストの低いコンテナによって購入のバリエーションを増やすことでデザインに多様性を生むことができるという。ユニクロを例に出し、均一さが氾濫するのではなくデザインに特化されていくのだと指摘。
最後に、今興味があることについて、
「インフラフリーコンテナ」
クリエイティブ・コモンズ・ハウス」
後者は建築の著作権を考えたことがきっかけであるという。要するに「図面を売ることができないか」ということ。施主が変わる度にデザインを考え図面を描くというのは正直きついと話す。
議論の中でも、建築の流通や著作権という話題は社会との接続の可能性を示しているという話題に。

(追記)
建築がつくられる状況に目を向けて、木を変えることによって森のような林をつくるというスタンスに含まれるユーモアと実直さのバランスが素敵だと感じた。